勤怠管理と就業管理の違いは?勤怠管理の意味や目的を解説!
こんにちは。プロキュア編集部です。
コロナ禍において、テレワークへの移行を果たした、または検討しているという企業様も多いのではないでしょうか。
そこで、人事労務担当者としては、「ちゃんと勤怠管理できるの?」という心配があるでしょう。
この記事では、より生産的な組織を実現する勤怠管理を行う第一歩として重要な、勤怠管理の定義やなぜ従業員の勤怠管理を行う必要があるのか、把握すべき項目、そして勤怠管理の方法など、基本的な知識について詳しく解説します。
目次(クリックでジャンプします)
テレワーク中の勤怠管理の課題
テレワーク下で浮き彫りになったのは、テレワークでの適切な勤怠管理ができているか否かは、チームのパフォーマンスや業務の明確化に非常に強く関わるということでしょうか。SKY株式会社が2020年10月19日行った「テレワークに関する意識調査」によると、勤怠管理の課題は「チームでの業務の不透明感」であると指摘しています。
テレワーク下において、組織の生産的に機能させる勤怠管理を実現するには、まずは根本的な労働法の理解、勤怠管理の必要性・目的を理解する必要があります。
そもそも勤怠管理とは?就業管理との違いは?
「勤怠」はその字の通り、仕事に勤めるか怠けるかであり、より身近には出勤と欠勤といった勤怠状況を指します。従って勤怠管理とは、企業や事業所が従業員の出退勤や休憩の時間、休暇、欠勤といった勤怠状況を管理することです。
ここで、「勤怠管理」とは別に「就業管理」という言葉がありますがその違いは何でしょう。
「就業」とは「定時に就業する」といったように主にその日の仕事に取り掛かることやその日の仕事に従事することを示します。企業としては、従業員の労働時間や休暇、休日などに関するルールを法律に則して定める必要があり、さらに仕事の生産性を高めるためには従業員の就業時間を統一する必要が生じます。ですので、ここでいう就業管理は会社として決められた出勤時間や退勤のルールに則って従業員が仕事に従事できているかを管理することを示し、「労働時間の管理」を行う勤怠管理とは微妙に異なることがわかります。
なぜ勤怠管理をしなきゃいけないの?
ずばり会社の義務として法律に定められているからです。
「使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない」
総務省 行政管理局 電子政府の総合窓口(e-Gov)『労働基準法』
この労働基準法第108条のように、労働基準法において企業や事業所は労働時間を適切に管理する、すなわち従業員の勤怠を適切に管理する責務を有することが定められています。
給与計算等のために付随して行うべきものではなく、勤怠管理そのものが健全な労働環境を実現するための目的なのです。
しかし、現状をみると、労働時間の自己申告制の不適正な運用などにより、労働基準法に違反する過重な長時間労働や割増賃金の未払いといった問題が生じているなど、使用者が労働時間を適切に管理していない状況もみられるのが事実です。
そこで厚生労働省は平成29年1月20日に、すべての事業所に対し、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置 に関するガイドライン」を策定し発表しました。
これには労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置が具体的に明らかにされています。
このガイドラインは下の記事で詳しく解説しています。
勤怠管理の目的
以上より、勤怠管理の目的とは、従業員の労働時間の適切な把握、管理が可能になり、結果として過重労働の阻止や適切な評価制度を行うことです。
要するに、
1.労働時間の把握
2.適正な賃金の支払い
3.従業員の健康管理
の3つの目的に分類されます。
労働基準法にもあるように、従業員の労働日や出退勤などの情報から労働時間を把握して、働いた分の給与をミスなく支払うことは、企業や事業所の義務です。深刻な社会問題にも発展している残業代の未払いといったリスクを減らすためにも、特に時間外や休日労働の管理は徹底して行う必要があるでしょう。従業員1人ひとりの働き方を把握できる勤怠管理を通じて健康も管理していくことが、企業や事業所の責任だと言えるでしょう。
適切な勤怠管理は、従業員の健全な就業や企業としての法令遵守にも結び付くのです。
勤怠管理で把握すべき項目
では、適切な勤怠管理を行うには、どのような情報が必要なのでしょうか。
把握すべき項目には、
- 出勤、退勤時刻
- 労働時間
- 時間外労働時間
- 深夜労働時間
- 休日労働時間・出勤日数
- 出勤日数
- 欠勤日数
- 早退や遅刻の回数・時間
- 有休日数、有休残日数
などがあります。
勤怠管理の方法
では具体的に、どのようにすれば、それらの項目を把握し適切な勤怠管理をすればいいのでしょうか。
勤怠管理の方法には主に、タイムカード、紙やExcelで作成した出勤簿、勤怠管理システムが挙げられます。最近では、テレワークへの移行に伴って勤怠管理システムの利用を開始する企業様が多いようです。
タイムカード
タイムカードは、タイムレコーダーにタイムカードを挿入して打刻する勤怠管理の方法で、現在でも中小企業や工場などで取り入れられています。タイムカードの情報はExcelなどでデータ化し、給与計算を行います。
タイムカードによる勤怠管理方法では、不正打刻や打刻ミスなどを定期的に記録に間違いがないかチェックすることが求められるため、タイムカードに入力された情報をExcelなどでデータ化する際には、手入力による膨大な作業が必要となります。そのため、結果として企業や事業所の規模が大きければ大きいほど、勤怠管理の担当者の負担が増えることになります。
ガチャンと物理的に勤怠を切るタイムカードでは、出社する必要が生じるためテレワークとは相性が悪いと言えます。働き方改革やテレワークを推進する上では、まずタイムカードからの脱却が第一でしょう。
紙やエクセルで作成した出勤簿
紙やExcelで作成した出勤簿は、勤務時間を記入・入力して勤怠管理を行う方法です。紙の出勤簿はタイムカードと同様に手入力でのデータ化が必要ですが、Excelの出勤簿であれば給与計算がしやすいというメリットがあります。
この方法で勤怠管理をする際は、多くの場合、日々の出退勤時刻などの記録が従業員の自己申告となってしまうため、タイムカードと同様に不正打刻の恐れや、自己申告制による労働時間はガイドラインに抵触する可能性があるため、対策が必要です。
また、計算ミスやデータの消失などで、給与の未払いが発生してしまうリスクがあるのも注意が必要です。
勤怠管理システム
勤怠管理システムは、インターネットを利用して打刻を行う勤怠管理方法です。
タイムカードや出勤簿での勤怠管理にかかる手間を省いて、業務の効率化やコスト削減にも効果的なため、勤怠管理システムを導入する企業も多いです。また、給与計算システムなどの外部サービスとの連携が可能なサービスが多いのも嬉しい点です。
一見、導入は難しいと感じてしまうかもしれませんが一切そんなこともありません。多くのシステムがシステム利用の初心者であっても簡単に利用できるような直感的な操作画面を実現しています。
またインターネット上で利用するクラウド型のシステムであれば、専用機器を購入する必要もないため費用を抑える必要があります。データもインターネット上のサーバーに保管されるためデータ紛失のリスクもない上に、誰がどこにいてもリアルタイムのデータを確認することが可能です。
このようにクラウド型の勤怠管理システムを導入するだけで、勤怠管理の透明性を確保するだけでなく、コスト削減にも大きく寄与します。「働き方改革」の一環として認められ、厚生労働省からの助成金の対象になる場合もあるので要チェックです。
勤怠管理システムのメリットや世の中にどんなシステムがあり、どのシステムが自社に合っているかを知りたい方はこちらの記事もご覧ください。