建設コンサルティング

建設コンサルタントに必要な資格一覧と取得難易度・実務での活用ポイント

2026年5月3日

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結論から言うと、建設コンサルタントとして長期的にキャリアを築くうえで、技術士(建設部門)とRCCMを軸に据えた資格取得ロードマップが現実的な選択肢となります。両資格は管理技術者・照査技術者の要件として位置づけられる場面が多く、業務範囲や処遇にも影響しやすいためです。本記事では、主要資格の難易度・受験要件の比較から、年代別の取得ステップ、業務・年収への影響までを整理し、自分のキャリア段階に合った判断材料を提供します。

目次

建設コンサルタント業務で必須となる主要資格

業界では「技術士」と「RCCM」が二大資格と位置づけられています。受注業務における管理技術者・照査技術者の要件として、これらの資格保有が求められる場面が多いためです。

技術士(建設部門)

技術士は技術士法に基づく国家資格で、科学技術分野における高度な専門能力を認定する制度です。建設コンサルタント業界では建設部門の技術士が中核資格とされます。

受験ルートは次のとおりです。

第一次試験に合格して技術士補として登録し、所定の実務経験を経て第二次試験を受験します。合格後に登録すれば、正式に技術士となります。
第一次試験は学歴・年齢・実務経験による制限がなく、誰でも受験できます。第二次試験の受験には、技術士補登録後に技術士の指導下で4年以上の実務経験、または通算7年以上の実務経験などが必要です。
第二次試験は筆記試験と口頭試験で構成され、合格率は例年10%台前半から20%弱程度で推移しています。

RCCM(シビルコンサルティングマネージャ)

RCCMは一般社団法人建設コンサルタンツ協会で認定されている民間資格です。建設コンサルタント業務において、管理技術者や照査技術者として必要な知識・技術を有することを証明します。

受験には学歴に応じた実務経験が求められます。大学院修了者(修士課程/博士課程前期)は5年以上、大学卒業者は7年以上、短期大学もしくは高等専門学校卒業者は9年以上、高等学校卒業者は11年以上、中学校卒業者は14年以上が目安です。
試験はCBT方式で実施され、『RCCM試験A』(問題I:業務経験の記述、問題II:業務関連法制度・建設一般・技術者倫理等の択一)と、『RCCM試験B』(問題III:管理技術力の記述、問題IV:基礎的技術知識と専門技術知識の択一)の二つで構成されます。合格率は近年では40%前後で推移しています。

一級土木施工管理技士・一級建築士

一級土木施工管理技士は、施工管理に関する国家資格です。発注者支援業務や工事監督支援業務など、現場の知識が重視される領域で評価されます。
一級建築士は建築物の設計や工事監理を担う国家資格です。建設コンサルタントの業務領域とは距離がありますが、補償業務や建築関連分野で活用される場面があります。

キャリアアップ・専門性強化に役立つ関連資格

建設コンサルタント業界では、担当業務に応じて専門性を示す資格を組み合わせて取得することが一般的です。

測量士・測量士補

測量士は、土地の位置・形状・高低差などを測量するための国家資格です。地形測量・用地測量・路線測量を扱う建設コンサルタントでは重要視されます。
測量士の試験は学歴・年齢・実務経験の制限なく受験できます。測量士補は基礎的な測量業務の補助に関する資格で、入口資格として取り組みやすい位置づけです。アジア航測やパスコのように空間情報技術を強みとする企業では、測量関連資格保有者が業務基盤を支えています。

コンクリート診断士・コンクリート技士

コンクリート診断士は、既存のコンクリート構造物の劣化を診断し、補修計画を策定する専門資格です。インフラ老朽化への対応需要が高まる中、補修・補強分野で評価される資格です。
コンクリート技士は、コンクリートの製造・施工・検査・管理に関する知識を証明する資格で、品質管理分野で活用されます。

環境・地盤・防災系の資格

担当領域に応じて、次のような資格も評価されます。地質調査技士は地盤調査・ボーリング調査の専門資格、環境計量士は濃度・騒音振動などの計量証明業務に関わる国家資格です。
土壌汚染調査技術管理者は土壌環境分野の専門資格、道路橋点検士・橋梁点検士はインフラ点検・診断分野の資格です。これらは「必須」ではなく、担当業務に応じて専門性を示す資格と理解するのが適切です。

各資格の難易度・受験資格・合格率の比較

主要資格の難易度と受験要件を整理します。

技術士第二次試験の難易度

技術士第二次試験は、論文形式の筆記試験と口頭試験で構成され、合格率は10%台前半〜20%弱程度です。実務経験の言語化と論理的な文章構成力が問われるため、暗記中心の対策では対応しにくい試験です。

RCCMの難易度

RCCMの合格率は年度により変動しますが、近年は40%前後で推移しています。受験者レベルも高く、中堅クラス以上が受験する「実務者試験」であるため、合格率の数字以上に対策が必要といえます。
受験者が実務経験を満たした技術者に限定されている点が特徴で、記述問題の比重が高くなっています。

受験資格の比較ポイント

技術士第一次試験は受験資格がなく、若手のうちから挑戦できます。一方、RCCMや技術士第二次試験は実務経験が前提となるため、入社後一定年数を経てから受験する流れが一般的です。

資格取得が業務・年収・キャリアに与える影響

管理技術者・照査技術者要件

公共発注業務では、管理技術者や照査技術者の配置が契約上求められます。これらの役割には、技術士やRCCMの資格保有が要件として挙げられるケースが多く、企業にとっても有資格者の確保が受注力に直結します。

プロポーザル方式での評価

建設コンサルタント業務の発注では、プロポーザル方式や総合評価落札方式が採用される案件が多く、提案者の保有資格や経験が評価対象となります。
技術士の有資格者が関与することで、評価上の優位性が生まれやすい構造です。

年収・キャリアへの影響

資格手当や昇進条件として技術士・RCCMが設定されている企業が多く、取得により処遇面が変化する場合があります。
ただし、資格があるだけで年収が上がるわけではなく、任される役割や担当案件の規模が変わることで結果的に評価へ反映される傾向があります。

効率的な資格取得の進め方とロードマップ

20代前半:基礎固めの段階

入社1〜3年目は、技術士第一次試験の合格を目指す時期です。第一次試験は受験資格に制限がなく、早期に合格すれば技術士補登録が可能となり、第二次試験の受験準備に進めます。

20代後半〜30代前半:RCCM挑戦の段階

実務経験要件を満たしたタイミングで、RCCMの取得を検討します。担当業務と一致する部門を選択することが重要で、専門性の証明として転職・社内評価で武器になる時期です。

30代以降:技術士第二次試験

30代以降は技術士第二次試験が視野に入ります。管理技術者ポジションを目指す場合、技術士は強力な武器となります。
論文対策・口頭試験対策には添削や壁打ちの機会を活用すると効率が上がります。

勉強の進め方

働きながらの資格取得では、学習を継続できる仕組み作りが重要です。平日は短時間のインプットに絞り、休日にまとまった時間を確保してアウトプット練習を行うのが基本です。
過去問を中心に出題傾向を把握し、記述試験は実務経験の棚卸しから始めると効果的です。

企業側から見た資格保有者の確保・育成のポイント

登録要件と人材構成

建設コンサルタント登録を維持するには、登録部門ごとの技術管理者を確保する必要があります。技術士の在籍状況は、企業の登録部門数や受注可能領域に直結するため、計画的な採用・育成が欠かせません

資格取得支援制度

多くの企業では、技術士・RCCM・測量士などの資格取得支援制度を整備しています。試験対策の論文添削、受験料補助、合格時の報奨金などが代表的な支援内容です。
若手技術者の定着とスキル向上を両立させる仕組みとして機能しています。

専門分野とのマッチング

建設コンサルタント業界では、河川・道路・橋梁・上下水道など専門分野ごとに組織が細分化されています。
採用・育成にあたっては、本人の希望分野と企業の事業領域の整合性を確認し、長期的なキャリア形成を見据えた配属設計が重要です。

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よくある質問(FAQ)

建設コンサルタントに必須の資格はありますか

個人として働くうえで法的に必須の資格はありません。ただし、企業の登録要件や管理技術者・照査技術者の配置要件として、技術士やRCCMが実質的に必要となる場面が多くあります。

未経験から建設コンサルタントを目指せますか

未経験からの参入は容易ではありませんが、施工管理・測量・地質調査などの関連経験があれば転職の道が開けます。入社後に技術士補・RCCM・技術士と段階的に取得していくケースが一般的です。

技術士とRCCMはどちらを先に取るべきですか

多くの場合、実務経験を積みながらRCCMを取得し、その後に技術士第二次試験を目指すルートが現実的です。ただし、技術士第一次試験は実務経験不問のため、若手のうちに合格しておく価値は高いといえます。

資格取得は独学でも可能ですか

RCCMや技術士第一次試験は独学合格者もいます。一方、技術士第二次試験は論文・口頭試験があるため、第三者の添削や壁打ちを活用したほうが合格に近づきやすい傾向があります。

建設コンサルタントの資格取得には何年かかりますか

受験資格を満たすまでの実務経験年数を含めると、技術士取得までは大学卒業後7年程度かかるのが一般的です。RCCMも大学卒業者の場合、卒業後7年以上の実務経験が必要となります。

建設コンサルタント業界の人材戦略をサポートします

建設コンサルタント企業の登録要件充足、有資格者の採用・育成、若手技術者のキャリア設計など、人材戦略に関わる課題は多岐にわたります。技術士・RCCMをはじめとする資格保有者の確保は、受注力と直結する重要なテーマです。業界動向を踏まえた人材育成の仕組みづくりを検討する際は、専門サービスの活用もご検討ください。

まとめ 建設コンサルタント資格のロードマップを描くために

建設コンサルタント業界では、技術士とRCCMが二大資格として位置づけられ、管理技術者・照査技術者の要件や企業の登録要件と密接に関わっています。資格取得の順序としては、入社初期に受験資格不問の技術士第一次試験で技術士補登録を目指し、実務経験を積みながらRCCM、その後に技術士第二次試験へと段階的に進むルートが現実的です。測量士やコンクリート診断士、地質・環境系の資格は、担当業務に応じて専門性を補強する位置づけです。年収や処遇への影響は、資格単体ではなく、有資格者として担う役割や案件規模を通じて反映される傾向があります。まずは自身の担当領域と企業の登録部門を照らし合わせ、5年・10年単位でのロードマップを描くことが、次の一歩を判断するうえでの起点となります。資格取得支援制度や添削・壁打ちの機会を活用し、無理のないペースで継続できる学習設計を組み立てていきましょう。

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