建設コンサルタントの種類とは|業務分野・登録部門・選び方を解説
2026年5月3日

結論から言うと、建設コンサルタントは「国土交通省の登録21部門」「業務フェーズ」「対象インフラ領域」「発注者属性」という4つの軸で整理すると、自社案件に適した依頼先を見極めやすくなります。橋梁更新や上下水道再整備のように対象分野が明確なプロジェクトでは、まず該当する登録部門を保有し、技術士・RCCMなどの有資格者を擁する事業者を絞り込むのが基本です。本記事では、建設コンサルタントの定義や設計事務所・ゼネコンとの違いから、21の登録部門、選定時の判断軸、発注前に整理すべき要件までを体系的に解説します。発注先選定の判断材料としてご活用ください。
目次
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建設コンサルタントの種類を分ける主な軸
建設コンサルタントは複数の切り口で分類できます。発注前に種類を整理しておくと、自社案件に適した依頼先を絞り込みやすくなります。
国土交通省の登録部門による分類(21部門)
国土交通省の建設コンサルタント登録規程では、登録部門が21に分かれています。事業者は全部門または一部について、要件を満たせば国土交通大臣の登録を受けられます。
登録の有無に関わらず営業自体は自由に行えますが、公共事業の入札では登録が事実上の前提となる場面が多くあります。登録の有効期間は5年で、引き続き営業する場合は更新が必要です。
業務フェーズによる分類(調査・計画・設計・施工監理・維持管理)
建設コンサルタントの業務は、プロジェクトのフェーズで切り分けて整理できます。上流から順に、企画立案、調査、計画、基本設計、詳細設計、施工監理、維持管理という流れが一般的です。
会社によって得意とするフェーズに差があります。案件がどの段階にあるかを明確にしたうえで依頼先を選ぶことが重要です。
対象インフラ・領域による分類
対象とする社会インフラの領域でも分類できます。代表的な領域は以下のとおりです。
道路、河川・砂防、上下水道、農業土木、森林土木などの基盤系領域
トンネル、港湾・空港、ダムなど比較的大規模な土木構造物に関わる領域
鉄道、電気電子、地質、建設環境など特定分野に特化した専門領域
発注者による分類(官公庁向け・民間向け)
建設コンサルタントの主要顧客は官公庁・地方自治体ですが、近年は民間ディベロッパーやインフラ事業者からの依頼も見られます。
官公庁案件では入札やプロポーザル方式が採用される一方、民間案件では事業性検討や開発スピードが重視される傾向があります。
主要な登録部門ごとの業務内容
国土交通省告示で定められている21の登録部門について、業務内容を整理します。各部門は技術士第二次試験の選択科目におおむね対応しており、対応する選択科目で技術士第二次試験に合格し登録を受けた技術士が、技術管理者の中心的な要件となります。
道路・河川砂防海岸海洋・港湾空港部門
「道路」部門は、道路の新設・改良計画、交差点設計、橋梁やトンネルなどの道路構造物、交通量解析や交通計画を扱います。建設コンサルタント業務のなかでも案件数が多い領域です。
「河川、砂防及び海岸・海洋」部門は、河川整備計画、堤防やダムの設計、砂防施設、津波・高潮対策など治水・防災に関わる業務を担当します。河川分野は建設技術研究所をはじめとする総合系コンサルタントが多くの実績を持ち、官公庁の大規模事業で広く採用されています。「港湾及び空港」部門は港湾施設や漁港、空港の土木施設を対象とします。
都市計画及び地方計画・造園部門
「都市計画及び地方計画」部門は、都市基本計画、土地利用計画、土地区画整理、市街地再開発、立地適正化計画など、地域全体の方向性を扱います。住民や行政との調整も多い領域です。
「造園」部門は、公園・緑地の計画と設計、ランドスケープ整備などを担います。「都市計画及び地方計画」部門は、技術士のほか、一定の実務経験を有する一級建築士も技術管理者として認められている点が他部門と異なります。土地区画整理を中心としたまちづくり領域では、株式会社オオバのように事業化調査から運営支援までを一貫で担う事業者も存在します。
鋼構造及びコンクリート・土質及び基礎部門
「鋼構造及びコンクリート」部門は、橋梁や高架、コンクリート構造物の構造設計・耐震設計を扱います。橋梁分野では国内で多数の実績を持つ事業者も存在します。
「土質及び基礎」部門は、構造物の基礎設計や地盤の挙動解析、軟弱地盤対策などを担当します。横断的部門として、各事業領域の設計に深く関わります。
上下水道・電力土木・トンネル部門
「上水道及び工業用水道」部門と「下水道」部門は、水道管路や処理施設の計画・設計・更新、耐震化、アセットマネジメントなどを扱います。生活インフラに直結し、自治体案件が中心です。
「電力土木」部門は発電所や送電関連の土木施設、「トンネル」部門は山岳トンネル、シールド、開削など各種トンネル工法に関わる設計を担います。
建設環境・建設機械・電気電子部門ほか
「建設環境」部門は環境影響評価、生態系保全、環境保全計画など、社会資本整備に伴う環境配慮を担当します。「機械」部門は建設工事に用いる機械の計画・設計、「電気電子」部門は通信網、施設管理のための電気設備や情報システムを扱います。
このほか「鉄道」「農業土木」「森林土木」「水産土木」「廃棄物」「地質」「施工計画、施工設備及び積算」が登録部門として位置づけられています。
21の登録部門一覧
国土交通省告示による21の登録部門は以下のとおりです。
河川、砂防及び海岸・海洋
港湾及び空港
電力土木
道路
鉄道
上水道及び工業用水道
下水道
農業土木
森林土木
水産土木
廃棄物
造園
都市計画及び地方計画
地質
土質及び基礎
鋼構造及びコンクリート
トンネル
施工計画、施工設備及び積算
建設環境
機械
電気電子
建設コンサルタントを選ぶ際の判断軸
種類を整理したうえで、実際の依頼先選定では複数の観点を組み合わせて評価することが有効です。
登録部門の有無
依頼したい分野について、対応する登録部門を保有しているかを最初に確認します。公共発注では、登録部門と一致しない分野の業務を委託することは現実的に難しい場面が多くあります。
技術士・RCCMの在籍状況
建設コンサルタント登録には、登録部門ごとに常勤・専任の技術管理者の設置が求められます。技術管理者は原則として、当該部門に対応する選択科目で技術士第二次試験に合格し登録を受けた技術士であることが必要です(「都市計画及び地方計画」部門では一定の実務経験を有する一級建築士なども認められます)。
RCCM(シビルコンサルティングマネージャ)は建設コンサルタンツ協会が認定する民間資格で、管理技術者・照査技術者などの実務能力を示すものです。有資格者数や部門ごとの配置状況は、会社の技術的な厚みを測る指標になります。
類似案件の実績と地域性
自社案件と類似する規模・分野の業務実績があるかを、過去の業務実績や受注事例から確認します。地域に密着した拠点を持つかどうかも、現地踏査や行政協議の効率に影響します。
会社のタイプ
建設コンサルタントには、複数部門を網羅する総合型、特定分野に強みを持つ専門特化型、発注者支援に特化したCM/PM型などのタイプがあります。案件の複雑性や社内リソースに応じて、適合するタイプを選びましょう。
発注前に整理しておくべき要件
依頼先を比較する前に、発注側で次の点を整理しておくと、提案内容の比較精度が高まります。
事業の目的・背景と達成したいゴール
対象インフラの種別と概略規模
業務フェーズ(調査のみか、設計まで含むか、施工監理も依頼するか)
スケジュールと予算の目安
成果物の種類と納品形式
これらをRFP(提案依頼書)の形でまとめると、複数社から同条件で提案を受けやすくなります。要件があいまいなまま発注すると、各社の提案がばらつき、比較自体が難しくなる点に注意が必要です。
公共工事における位置づけ
公共事業の基本的な流れは、企画立案、調査計画、設計、工事、維持管理の5工程に整理できます。建設コンサルタントは主に企画立案・調査計画・設計を担い、施工はゼネコンなどの建設会社が担当します。
近年は発注者側の技術職員が不足する自治体も増え、発注者支援業務(積算資料作成、工事監督支援、行政事務補助など)の比重が高まっています。CM/PM領域に踏み込む建設コンサルタントも増加傾向にあります。
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よくある質問(FAQ)
登録を受けていない事業者に依頼してもよいですか
民間案件であれば、登録の有無は必須要件ではありません。ただし公共発注を見据える場合は、登録部門と有資格者の確認が事実上必要になります。
技術士とRCCMの違いは何ですか
技術士は科学技術分野の国家資格で、建設・上下水道・農業・森林・電気電子など複数の技術部門に分かれています。RCCMは建設コンサルタンツ協会の民間資格で、管理技術者・照査技術者としての実務能力を部門ごとに示すものです。両者は補完的な関係にあります。
1社で複数部門に対応できる事業者はありますか
あります。総合建設コンサルタントと呼ばれるタイプは、道路・河川・都市計画・環境など複数部門を網羅し、上流から下流まで一貫対応が可能です。複合的な大規模案件で活用される場面が多いのが特徴です。
初めて発注するのですが、どこから始めればよいですか
まず課題と目的を文章化し、RFPの素案を作成するところから始めるのが現実的です。複数社にヒアリングを行いながら要件を磨き込み、提案内容と実績を比較していく進め方が有効です。
まとめ 建設コンサルタントの種類を理解して発注先選定の精度を高める
建設コンサルタントは、国土交通省の21登録部門、業務フェーズ、対象インフラ領域、発注者属性といった複数の軸で分類できる専門業種です。橋梁更新や上下水道再整備のような具体的なプロジェクトでは、まず該当する登録部門の有無を確認し、技術士・RCCMの配置状況や類似案件の実績、地域性を組み合わせて評価することが有効です。会社のタイプには総合型、専門特化型、CM/PM型があり、案件の複雑性や社内リソースに応じて使い分ける必要があります。発注前には事業目的、対象インフラ、業務フェーズ、スケジュール、成果物などをRFPとして整理しておくと、複数社の提案を同条件で比較できます。次のステップとしては、自社案件の要件を文章化したうえで、登録部門と実績を満たす候補事業者をリストアップし、ヒアリングや提案依頼を通じて適合性を見極めていく進め方が現実的です。














