建設コンサルティング

建設コンサルタント売上ランキング|主要企業の業績と特徴を比較解説

2026年4月30日

記事画像

結論から言うと、建設コンサルタント業界の売上規模で上位に位置するのは、ID&Eホールディングス(旧:日本工営)、建設技術研究所、パシフィックコンサルタンツのいわゆる「BIG3」を筆頭とする総合系大手であり、これに専門特化系の有力各社が続く構造です。発注先選定の判断材料としては、売上規模だけでなく、登録部門・有資格者数・分野別実績・地域対応力など複数の軸で評価する視点が欠かせません。本記事では、業界の市場規模と動向、上位企業の売上ランキング、各社の事業特性と強み、近年のトレンドを整理し、パートナー候補としての比較に活用できる情報をまとめます。

目次

売上ランキング上位企業の一覧(直近決算ベース)

以下は、各社の有価証券報告書・決算公告・業界誌掲載値などをもとに整理した直近の売上規模です。決算期や集計対象(連結/単体、建設コンサル部門のみ/全社)が企業ごとに異なるため、単純比較ではなく参考情報としてご覧ください。

上位企業の売上・利益・従業員数(直近公表ベース)

ID&Eホールディングス(旧:日本工営)
売上収益:約1,589億円/営業利益:約141億円/連結従業員数:約6,600名規模(2024年6月期)

株式会社建設技術研究所
売上高:約976億円/営業利益:約84億円/単体従業員数:約2,189名(2024年12月期、2025年2月時点の人員)

オリエンタルコンサルタンツホールディングス
売上高:約860〜950億円規模/営業利益:数十億円規模(2024〜2025年9月期)

応用地質株式会社
売上高:約740〜760億円規模/営業利益:十数億〜40億円台(2024〜2025年12月期)

パシフィックコンサルタンツ株式会社
売上高:約615〜690億円規模/従業員数:約2,300名規模(2023〜2024年9月期)
非上場のため公表情報は限定的です。

株式会社パスコ
売上高:約585〜610億円規模/営業利益:約40億円規模(2024〜2025年3月期)

国際航業株式会社
売上高:約447億円/営業利益:約31億円/従業員数:約2,092名(2025年3月期)

E・Jホールディングス(エイト日本技術開発を中核)
売上高:約427億円/営業利益:約44億円(2025年5月期)

アジア航測株式会社
売上高:約400〜420億円規模/営業利益:20〜30億円規模(2024〜2025年9月期)

大日本ダイヤコンサルタント(DNホールディングス)
売上高:約350〜370億円規模(2024〜2025年6月期)

株式会社NJS
売上高:約225〜250億円規模/営業利益:約28〜32億円(2024〜2025年12月期)

八千代エンジニヤリング株式会社
売上高:約270億円前後/営業利益:約10億円前後

集計方法と出典の注記

上記の数値は、各社の有価証券報告書、決算短信、電子公告、日刊建設通信新聞社「建設人ハンドブック」、日経コンストラクション、ストレイナーなどの公開情報を参照しています。 連結/単体の区分や、グループ再編の有無により数値は変動します。直近の正確な数値については、各社IR資料の確認をおすすめします。

上位企業の特徴と強み

大手3社の事業領域

業界では「BIG3」と称される企業群が長年上位を占めてきました。

ID&Eホールディングス(日本工営)は、創業以来、海外コンサルティングに注力してきた総合大手で、展開地域は160以上の国・地域に及ぶとされる業界トップクラスの事業基盤を持ちます。河川・水資源、ダム、上下水道、都市・交通計画、エネルギー事業まで幅広くカバーします。

建設技術研究所は、河川・砂防など水分野での実績が長年トップクラスです。流域・国土事業、交通・都市事業、環境・社会事業、建設マネジメント事業の4部門体制で、官公庁案件の比率が高い点が特徴です。

パシフィックコンサルタンツは、道路・交通・空港・港湾分野で強みを発揮し、PFI/PPPアドバイザリーでも国内有数の実績を持つとされます。社会インフラサービスのトータルソリューション提供を志向しています。

総合系と専門特化系の違い

大手総合系(日本工営、建設技術研究所、パシフィックコンサルタンツ、オリエンタルコンサルタンツ)は、登録21部門の広範な領域をカバーし、大規模・複合プロジェクトに対応できる体制を備えています。

一方、専門特化系の企業は特定分野で高いシェアを確保しています。 日水コン・NJSは上下水道、応用地質は地質調査・防災、パスコ・アジア航測は空間情報・測量、長大は橋梁、いであは環境分野でそれぞれ評価を得ています。

海外・防災・環境分野などの差別化ポイント

差別化軸は企業ごとに分かれます。海外事業では日本工営とオリエンタルコンサルタンツグローバルが目立ち、ODA案件で実績を積んできました。 防災・国土強靱化では建設技術研究所、応用地質、八千代エンジニヤリングが関与する大型案件が多く、環境分野ではいであや日本工営が強みを示しています。

ランキングから読み取れる業界トレンド

インフラ老朽化と国土強靱化の影響

高度経済成長期に整備されたインフラの更新時期が重なり、橋梁・トンネル・上下水道などで維持管理・更新需要が拡大しています。 「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」など継続的な公共投資が、上位各社の業績を下支えする背景のひとつです。

DX・BIM/CIM対応の進展

国土交通省は2023年度以降、直轄業務でのBIM/CIM原則適用を進めています。3Dモデル、ドローン測量、AI解析などの活用が広がり、各社は業務効率化と新サービス創出を競う段階に入っています。 AIによる報告書作成支援や生成AI活用の特記仕様書への明記など、デジタル投資の巧拙が今後の差別化要因になる見通しです。

人手不足と技術者確保

技術者の高齢化と若手不足は業界共通の課題です。技術士・RCCM保有者の確保は、入札要件や評価点に直結するため、各社が処遇改善や資格取得支援を強化しています。 日経クロステックの独自調査では、大手各社の平均年収は700万円台後半とされ、上位企業を中心に人材確保に向けた賃金改善の傾向が読み取れます。

発注先・取引先として建設コンサルを選ぶ際の視点

売上規模だけで判断しない実務上のポイント

売上ランキングは企業規模や受注力の目安にはなりますが、案件適合性を保証するものではありません。 発注検討時は、対象分野の登録部門、技術士・RCCMなど有資格者数、類似案件の実績、対応地域の支店網、提案体制、BIM/CIM・DX対応力など、複数の軸で総合的に評価することが望まれます。

専門分野・地域特性とのマッチング

河川・砂防は建設技術研究所、上下水道はNJS、地質調査は応用地質、空間情報・測量はパスコや国際航業、橋梁は長大や大日本ダイヤコンサルタントなど、領域ごとに強みを持つ企業は異なります。 地方案件では、地域に根差した中堅・地域系コンサルタントが地形特性や行政との関係性で強みを発揮するケースもあります。

発注方式も、プロポーザル方式・総合評価落札方式・価格競争方式など案件特性に応じた選択が必要です。 複数社からの提案を比較する際は、技術提案の内容と担当予定者の経験・資格を併せて確認することが、選定後のミスマッチ抑制につながります。

発注担当者や経営企画担当者におすすめの建設コンサルティング一覧!

よくある質問(FAQ)

建設コンサルタントの売上トップはどこですか

直近の公表ベースでは、ID&Eホールディングス(旧:日本工営)が連結売上収益約1,589億円(2024年6月期)で最大規模です。建設コンサルタント部門単体で見ても、長年上位を維持しています。

「BIG3」とはどの企業ですか

業界で「BIG3」と称されるのは、日本工営(ID&Eホールディングス)、建設技術研究所、パシフィックコンサルタンツの3社です。総合力で業界を牽引してきた歴史を持ちます。

ランキングはどの数値を見るべきですか

連結売上は企業グループ全体の規模、単体売上は中核事業の実態、建設コンサルタント部門の売上は専業性を把握する際に役立ちます。比較目的に応じて使い分けるとよいでしょう。

非上場企業の業績はどう確認できますか

パシフィックコンサルタンツなど非上場企業は、決算公告や業界誌、日刊建設通信新聞社の「建設人ハンドブック」、日経コンストラクションの調査などから概況を把握できます。最新情報は各社の公式発表をご確認ください。

業務分野別のランキングはありますか

日経コンストラクションが業務分野別の業務額ランキングを定期的に公表しています。河川・砂防、道路、上下水道、鉄道、港湾・空港など分野ごとに上位企業の顔ぶれが異なるため、案件特性に近い分野での比較が有効です。
本記事の数値は時点情報であり、最新の有価証券報告書や業界調査も併せてご確認ください。

まとめ 〜売上ランキングと事業特性を踏まえた建設コンサル選定の視点〜

建設コンサルタント業界は、5,000億〜6,000億円規模の市場で官公需が中心となる構造を維持しつつ、国土強靱化やインフラ老朽化対応を背景に底堅い受注環境が続いています。売上規模ではID&Eホールディングス、建設技術研究所、パシフィックコンサルタンツの「BIG3」が長年上位を占め、これに総合系のオリエンタルコンサルタンツ、専門特化系の応用地質、パスコ、NJSなどが続く構図です。一方で、各社の数値は連結/単体や決算期の違いがあり、単純比較ではなく参考情報として捉える必要があります。発注先選定にあたっては、売上規模に加え、登録部門、有資格者数、類似案件の実績、地域対応力、BIM/CIMやDXへの対応状況など複数の軸で評価することが実務上の要点です。専門分野や地域特性に応じて中堅・地域系コンサルタントの活用も選択肢となるため、案件ごとの適合性を踏まえてパートナー候補を整理することが、ミスマッチを抑えた発注判断につながります。最新の数値や詳細は各社IR資料や業界誌の調査を併せてご確認のうえ、自社・自組織の案件特性に沿った比較検討を進めていただければと思います。

建設コンサルティングのまとめ記事

カテゴリから探す