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複式簿記とは?複式簿記対応の会計ソフト4選も紹介!!

2026年1月29日

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事業の成長や青色申告の必要性から、これまでの簡易な帳簿付けからの移行を検討している方も多いのではないでしょうか。複式簿記と聞くと専門的で難しく感じるかもしれませんが、その仕組みとメリットを理解すれば、経営状況を可視化する上で重要な役割を果たします。この記事では、複式簿記の基本から、事業にもたらすメリット、そして会計ソフトの活用法までを解説します。

目次

複式簿記とは?事業の状況を正確に把握する会計の基本

取引を「原因」と「結果」の2側面から記録する仕組み

複式簿記とは、事業における日々の取引を記録するための会計手法の一つです。
大きな特徴は、一つの取引を「原因」と「結果」という2つの側面から捉えて記録する点にあります。例えば、現金が増えた場合、「現金が増加した」という結果だけでなく、「商品の売上があったから」といった原因も同時に記録します。
この二面性を記録するため、帳簿の左側を「借方」、右側を「貸方」として取引内容を振り分け、左右の合計金額が一致するように記帳します。この仕組みにより、現金の動きだけでなく、資産や負債の増減を含めた事業全体の財産状況を正確に把握できます。

単式簿記との違いを比較|記録方法・情報の網羅性・信頼性

単式簿記と複式簿記の主な違いは、記録する情報の網羅性と信頼性にあります。
単式簿記は家計簿のように、主に「現金の収入と支出」という一面に絞って記録する方法です。現金の残高は把握しやすいものの、資産や負債の全体像は見えにくいという特徴があります。
一方、複式簿記は取引を二つの側面から記録するため、現金の動きに加えて売掛金や借入金といった資産・負債の変動も正確に追跡可能です。また、借方と貸方の合計金額が常に一致する仕組み上、記帳ミスを発見しやすく、記録の信頼性が高い点も大きな違いと言えるでしょう。

なぜ企業会計や青色申告では複式簿記が原則なのか

企業会計や青色申告で複式簿記が原則とされているのは、事業の財政状態と経営成績を正確に開示する必要があるためです。
企業は、株主や金融機関などの利害関係者に対し、決算時点での資産や負債の状況を示す「貸借対照表」と、一定期間の収益と費用を示す「損益計算書」を作成・報告する義務があります。これらの財務諸表を作成するには、取引の原因と結果を網羅的に記録する複式簿記の仕組みが不可欠です。
また、税務署にとっても複式簿記に基づく帳簿は信頼性が高く、課税の公平性を保つ上で重要な資料となります。そのため、青色申告特別控除といった税制優遇を受けるための要件として、正規の簿記の原則(一般的に複式簿記)による記帳が求められています。

個人事業主が複式簿記へ移行するベストなタイミング

個人事業主が単式簿記から複式簿記へ移行を検討する主なタイミングは、事業を本格的に成長させたいと考えた時や、節税効果を高めたい時です。
特に、年間所得が増加し税負担が大きくなってきた段階で、最大65万円の青色申告特別控除を目指すことは有効な選択肢です。また、金融機関からの融資を検討している場合や、事業の収支だけでなく資産・負債の状況を正確に把握して経営判断に活かしたい場合も、移行に適したタイミングと言えるでしょう。
近年では会計ソフトの活用により、簿記の専門知識がなくても複式簿記での記帳が容易になっています。早めに移行することで、将来の事業拡大に備えた管理体制を構築できます。

事業で複式簿記を用いる3つのメリット

青色申告特別控除(最大65万円)が適用可能になる

複式簿記を採用する大きなメリットの一つが、確定申告において最大65万円の青色申告特別控除を受けられることです。
この控除は、複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を作成して期限内に申告すること、さらにe-Taxによる電子申告または優良な電子帳簿保存を行うことを条件に適用されます。単式簿記(簡易な帳簿)での青色申告では控除額が最大10万円にとどまるため、複式簿記への移行は所得税や住民税などの負担軽減につながります。
記帳の手間は増えますが、会計ソフトを活用すれば要件を満たすハードルは下がり、節税効果が期待できます。

経営状況を正確に把握し、迅速な意思決定に役立つ

複式簿記で日々の取引を記録することで、経営状況を多角的かつ正確に把握できるようになります。
単なる現金の増減だけでなく、どの事業活動で利益が出ているのか、あるいはどの経費がかさんでいるのかといった原因の分析が可能です。貸借対照表で資産と負債のバランスを確認し、損益計算書で収益性を評価することで、資金繰りの改善やコスト削減といった具体的な経営判断を迅速に行うための土台となります。
数字に基づいた客観的なデータは、事業の健全な成長を支える重要な指標となります。

金融機関からの信頼性が高まり、資金調達で有利になる

複式簿記に基づいて作成された決算書は、金融機関からの信頼性が高まり、融資審査などで有利に働く可能性があります。
融資審査の際、金融機関は返済能力を判断するために正確な財務諸表の提出を求めます。複式簿記による帳簿は、企業の資産や負債の実態を適正に反映していると見なされ、適切な経営管理が行われていることの証明になります。
信頼性の高い財務情報を提供できることは、融資審査において好材料となり、より良い条件での資金調達につながる可能性も高まります。

複式簿記の基本的な仕組みを理解する

決算書(貸借対照表・損益計算書)との関係性

複式簿記は、最終的に「貸借対照表」と「損益計算書」という2つの主要な決算書を作成するための基礎となるものです。
日々の取引を複式簿記で仕訳・集計することで、これらの財務諸表が作成されます。貸借対照表は決算日時点での企業の財政状態(資産・負債・純資産)を、損益計算書は会計期間中の経営成績(収益・費用・利益)を表します。
複式簿記では、一つの取引が貸借対照表と損益計算書の項目に同時に影響を与えることもあり、この2つの書類は密接に連携し、企業の財務状況を多角的に示します。

会計の5つの要素(資産・負債・純資産・収益・費用)

複式簿記では、すべての取引は「資産」「負債」「純資産」「収益」「費用」という5つの要素に分類されます。
「資産」は現金や商品など企業が保有する財産、「負債」は借入金など将来支払うべき義務を指します。「純資産」は資産から負債を差し引いた正味の財産です。
そして、「収益」は売上など事業活動で得た収入、「費用」は仕入や給与など収益を得るためにかかったコストを意味します。これらの要素がどのように増減したかを記録することで、事業活動の全体像を数値で捉えることができます。

「借方(かりかた)」と「貸方(かしかた)」の基本ルール

複式簿記の仕訳では、帳簿の左側を「借方」、右側を「貸方」と呼び、取引の要素を左右に振り分けます。
基本的なルールでは、資産の増加と費用の発生は「借方」に、負債の増加、純資産の増加、収益の発生は「貸方」に記載します。逆に、資産が減少した場合などは反対側に記載します。
借方と貸方の合計金額は常に一致するという原則があり、これが複式簿記の整合性を保つための重要な仕組みです。各要素が借方・貸方のどちらに属するかの基本ルールを理解することが重要です。

「発生主義」の理解が複式簿記の鍵

複式簿記を運用する上で重要な概念に「発生主義」があります。
これは、現金の授受時点ではなく、取引が発生した事実に基づいて収益や費用を認識する考え方です。例えば、商品を掛で販売した場合、まだ現金を受け取っていなくても、商品を引き渡した時点で「売上」という収益が発生したと記録します。
同様に、費用も支払いが後日であっても、サービスの提供を受けた時点で計上します。発生主義を採用することで、期間ごとの正しい損益を計算でき、企業の経営実態をより正確に反映できます。

【具体例で解説】基本的な取引の仕訳方法

例1:現金で売上があった場合(収益の発生)

商品を現金10,000円で販売した場合、仕訳は以下のようになります。
この取引では、「現金」という資産が増加し、同時に「売上」という収益が発生しています。資産の増加は借方(左側)、収益の発生は貸方(右側)に記載するルールのため、借方に「現金 10,000円」、貸方に「売上 10,000円」と記帳します。
これにより、手元の現金が増えた事実と、その原因が売上によるものであることを明確に記録できます。

例2:経費を現金で支払った場合(費用の発生)

事務用品などの消耗品を現金5,000円で購入した場合の仕訳例です。
この取引では、「消耗品費」という費用が発生し、「現金」という資産が減少しています。費用の発生は借方(左側)、資産の減少は貸方(右側)に記帳します。
そのため、借方に「消耗品費 5,000円」、貸方に「現金 5,000円」と記帳します。このように記録することで、何に費用を使ったのか、そしてその対価として資産が減ったことが示されます。

例3:備品を後払いで購入した場合(資産と負債の増減)

10万円のパソコンをクレジットカードなどで後払いで購入した場合の仕訳例です。
パソコンは「工具器具備品」といった資産として計上します。支払いは後日行うため「未払金」という負債が増加します。資産の増加は借方(左側)、負債の増加は貸方(右側)に記帳します。
そのため、借方に「工具器具備品 100,000円」、貸方に「未払金 100,000円」と記帳します。現金の動きがなくても、資産の取得と支払い義務の発生を同時に記録するのが複式簿記の特徴の一つです。

複式簿記の記帳を効率化する会計ソフトの選び方

クラウド型かインストール型か|利用環境やデバイスで選ぶ

会計ソフトには、インターネット経由で利用する「クラウド型」と、PCにソフトを導入する「インストール型」があります。
クラウド型は、場所やデバイスを選ばずにアクセスでき、Macやスマートフォンでも利用できる点が強みです。「freee会計」や「マネーフォワード クラウド会計」などが代表的で、銀行明細の自動連携機能も充実しています。
一方、インストール型は、オフライン環境でも動作が安定している場合があり、長年の運用実績があります。「弥生会計」などが知られており、従来の経理業務フローを変えずに運用したい場合に適しています。自社の業務環境やテレワークの導入状況に合わせて選択することが重要です。

必要な機能の過不足はないか|帳簿作成、確定申告、請求書発行など

事業の規模や業種によって、会計ソフトに求める機能は異なります。
個人事業主であれば確定申告書や青色申告決算書の作成機能が必須ですが、法人の場合は法人税申告に対応した決算書作成機能が必要です。また、日々の業務効率化のために、請求書作成や経費精算機能、給与計算ソフトとの連携機能などが搭載されているかも確認すべきポイントです。
機能が多すぎても使いこなせずコスト高になる可能性もあるため、自社の業務フローに合わせ、必要な機能が過不足なく備わっているかを見極めましょう。

料金体系は事業規模に合っているか|月額・年額、初期費用

会計ソフトの料金体系は、クラウド型ソフトでは月額または年額制のサブスクリプション方式が主流で、初期費用がかからないケースが多く見られます。
一方、インストール型ソフトは、初期の購入費用に加え、保守サポートやバージョンアップ費用が別途発生する場合があります。クラウド型でもプランによって利用できる機能やユーザー数が異なるため、事業規模に合わせたプラン選びが求められます。
長期的な視点で運用コストを試算し、予算に合った製品を選びましょう。

操作性とサポート体制|簿記初心者でも使いこなせるか

簿記の知識に不安がある方にとって、操作画面の分かりやすさやサポート体制の充実は重要な選定基準です。
専門用語が少なく、直感的な操作で入力できるソフトや、銀行口座と連携して自動で仕訳を提案してくれる機能がある製品は、初心者でも利用しやすいでしょう。また、操作に迷った際にチャットや電話で相談できるサポート窓口の有無も確認しておくと安心です。
無料トライアル期間を活用して、実際の操作感やサポートの対応を事前に確認することを推奨します。

会計ソフト導入を成功させるための準備

自社の会計業務の課題と導入目的を再整理する

会計ソフトを導入する前に、現在抱えている会計業務の課題を明確にすることが成功の鍵となります。
例えば、「手作業の帳簿付けに時間がかかりすぎている」「税理士とのデータ共有を円滑にしたい」「経営数値をリアルタイムで把握したい」など、具体的な目的を整理します。
目的を明確にすることで、必要な機能や重視すべきポイントが定まり、自社に最適なソフトを選びやすくなります。

無料トライアルを活用して操作性を事前に確認する

多くの会計ソフトでは、導入前に機能を試せる無料トライアル期間が提供されています。
この期間を活用し、実際の取引データを入力してみることで、操作画面の使いやすさや自動仕訳の精度、動作の速さなどを確認できます。特に、経理担当者の知識レベルに合ったインターフェースかどうかは、継続的に利用できるかを判断する重要な要素になります。
複数のソフトを比較し、担当者がストレスなく操作できるかを実際に試してみることが大切です。

データ移行や初期設定の計画を立てる

会計ソフトを切り替える、あるいは新規導入する場合、既存の会計データや顧客情報、開始残高などの移行作業が発生します。
期中に導入する際は、期首からの取引データをどう入力するか、あるいは期首に合わせて導入するかといった計画が重要です。また、銀行口座との連携や勘定科目のカスタマイズなど、初期設定にはある程度の時間が必要です。
余裕を持ったスケジュールを立て、スムーズな運用開始を目指しましょう。

法人・個人事業主におすすめの会計ソフト一覧!

まとめ:複式簿記への移行で事業の成長基盤を整えよう

本記事では、複式簿記の基本的な仕組みから事業にもたらすメリットまでを解説しました。取引を多角的に記録する複式簿記は、経営状況の正確な把握を可能にし、最大65万円の青色申告特別控除といった節税にも繋がります。専門知識に不安があっても、会計ソフトを活用すれば日々の記帳から決算書の作成までを効率化できます。まずは自社の課題を整理し、無料トライアルなどを活用して最適なソフトを見つけることから始めましょう。複式簿記へのスムーズな移行が、事業の健全な成長を支える強固な基盤となります。

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