管理会計と財務会計の違いとは?おすすめソフトもご紹介!

企業経営を行う人の中には、個人事業主や企業を目指す会計初心者の方もいます。あるいは、大企業や中小企業で経理業務の人件費が圧迫して改善したいという悩みを持つ方もいるでしょう。本記事では、財務会計や管理会計の違いなどについて解説し、おすすめのクラウド会計ソフトを紹介します。

企業会計とは?

企業会計は、企業の経済活動として資産の調達や運用、会計の収支などを記録・集計し報告することです。企業内のお金の動きは、仕訳帳と総勘定元帳に記載します。そして、帳簿を付ける行為を会計業務では「仕訳」と呼びます。

例えば、仕入れのために100万円の取引をし、それが150万円で売れたとすると、50万円の利益ですが、それらの収支はすべて借方・貸方の両方に会計処理されて帳簿に記録されます。

まずは企業会計原則を理解しよう

企業会計原則とは、財務諸表等の社外向けの会計報告書を作成する際に厳守すべき、共通ルール化した原則のことです。以下は、企業会計原則の10原則を箇条書きにしたものです。

  • 真実性の原則
  • 正規の簿記の原則
  • 資本取引・損益取引区分の原則
  • 明瞭性の原則
  • 継続性の原則
  • 重要性の原則
  • 保守主義の原則
  • 単一性の原則
  • 損益計算書原則
  • 貸借対照表原則

上から7~8番目までは、簿記でもよく取り上げられます。特に、上記の原則の中でも「真実性の原則」は重要な位置づけです。粉飾決算や虚偽記載などを許さない厳格な企業会計を公正に行うことが必要と定めているのです。

また、「資本取引・損益取引区分の原則」によって、利益を隠したりすることのないようにも定められています。

財務会計と管理会計の違い

企業会計には、外部用と内部用の違いで財務会計と管理会計の2種類があります。

財務会計は会社の外の人たちにいまの経営状況などを報告する過去の会計報告書を作成することです。一方、管理会計は社内の人間が経営状況をチェックして、今後の経営方針などを決める時の判断材料として使う経営報告書を作ることです。どちらも基本は企業会計全体で行う仕訳帳と総勘定元帳の作成です。

財務会計は最終的に、損益計算書や貸借対照表(バランスシート)、キャッシュフロー計算書を作成し、外部に配布されます。対して、管理会計の場合は、決められた仕訳帳や総勘定元帳などの会計書類に限らず、月次報告や売上に関する資料などを別途社内の必要なところ(経営陣やマネジメント担当者)に配布します。

また、管理会計においては、社内用として会計の意味が通じればよいため、部署や部門ごとの会計報告を事業単位で行うこともできます。損益分岐点や変動損益計算書を分析したりするのもこの管理会計で提出された会計資料をもとに社長やマネジメント社員によって総合的な判断が行われます。

財務会計とは?

財務会計は、先程も少し触れたように、外部に向けた会計報告書を作成するための会計処理のことです。財務会計を行う目的は、主に社外に財務諸表(決算書)を報告するためです。

社外とは、投資家や銀行(金融機関)などといった利害関係者、つまり、社外にいるステークホルダーの人たちです。東証一部株式上場の会社であれば、この財務会計から会社の状況を判断して、株主総会などを進めます。それほど、会社の財務状況を知るために必要性の高いことなのです。

株主たちは配当による利益の分配を受けて、会社の義務・責任を負い、権利を行使する立場にあるため、経営状況が傾いた際には経営改善を求めることができます。そのため、財務会計の各会計報告書が重要な書類として扱われているのです。また、債務の担保や事業資金を融通している銀行からすれば、貸し倒れしないかをチェックする必要があるでしょう。健全な財政のもと事業を計画書通りに進められているかの把握も必須。それを行えるのが財務会計です。

財務会計の主な業務

仕訳して記帳する

財務会計を行う経理担当は、基本的に企業会計を税法に即して、財務会計として統一的に行うことが多いため、普段の業務は企業会計の仕訳による帳簿の記帳が知られています。

例えば、伝票の作成や領収書の精算、会計ソフトによる入力作業などです。これらは、会社法や税法の法律によって正しい数字を出す必要があるため、経理がチェックを担当します。すぐに財務諸表(決算書)を作成できるようにしたものが主流です。

貸借対照表に必要な固定資産管理

財務会計では、外部に向けての報告書に貸借対照表が必要です。この貸借対照表は、資産や現金を決められた表の「借方」に土地や建物として金額を記入することで、企業全体における資産の運用状態を示します。

そのため、経理の部署では普段からの業務として固定資産の管理や減価償却を耐用年数で計算し分割したコストの計上を行います。他にも在庫や機械なども資産の一部として計算されるため、耐用年数に応じた固定資産として扱われるのです。

事業年度の決算

財務会計で必要となる財務諸表は、別名「決算書」と呼ばれます。そのため、財務会計に深く関わっているのがこの事業年度の決算書類を作成する業務です。主に損益計算書をグループや会社で年度比較して、営業成績や利益を把握する報告書として外部に提供されます。

例えば、今年は不況で利益が減少したという場合、キャッシュフローなどの決算書類を確認することで具体的な数字がわかるようになっています。通常、これらを決められた仕様フォーマットでまとめる業務を経理が担当します。

おすすめの財務会計ソフト

会計freee

出典:公式サイト

freee会計はクラウド型の会計ソフトです。freee株式会社が提供する会計業務の効率化を目指すサービスでしょう。

特長

freee会計製品は、さまざまな会計ソフトの中から必要なものを選べます。中でも財務会計に関連した企業専用のEPR型「法人向け会計ソフト」があります。その特徴は、経理業務にかかる無駄な人件費をカットして、煩雑なデータ処理をソフトで一括して行えることです。このように、会計freeeにはさまざまな経理上のメリットがあるでしょう。

機能

  • 入出金管理や決算書の作成
  • 経理の業務時間を短縮する経理業務の自動化
  • 資金繰り表の自動作成
  • 入出金などの管理や自動でクレジットカードやバンクの情報を連携

料金プラン

ミニマム 1,980 円 / 月

年払いの場合。年間23,760円。

月払いの場合は、2,680円/月。

ベーシック 3,980 円 / 月

年払いの場合。年間47,760円。

月払いの場合は、5,280円/月。

プロフェッショナル 39,800 円 / 月

年払いの場合。年間477,600円。

月払いの場合は、47,760円/月。

管理会計とは?

管理会計は、企業会計の一種で財務会計とは区別される会計の手法です。財務会計が外部なのに対し、管理会計は会社内部に対して提示する会計報告書のことを指します。特に税法や会社法で作成が義務付けられているわけではなく、社内の判断で自由に作成することができる点で、財務会計とは大きく異なります。

管理会計の主だった目的は、社内の経営管理・計画の立案・経営判断に役立てること。例えば、企業経営者が今後の経営方針を業績で判断したいという時に、管理会計を提示するステークホルダーとして、社長や代表取締役などの大企業の経営陣などが挙げられます。彼らは売り上げ・原価計算・利益などのデータ、月次決算、レポートの作成や独自のフォーマットで用意する社内秘の会計資料などを経営判断のためにチェックします。

つまり、経理担当者は、管理会計で重要な書類やデータを作成して取りまとめることで、経営者や関連グループが先々の会社の行く末を決定することに繋がるのです。

管理会計を行うメリット

管理会計には、企業活動を促進するさまざまなメリットがあります。そこで、管理会計を企業で行うメリットについて紹介します。

メリット1 経営判断に最適

企業が自社の経営判断をするに当たり、判断材料となる会計報告書や資料は、各部署で作成されてそれが経理により取りまとめられます。作成された会計書類は、経営者やマネジメントを担う人がチェックして経営方針を定めるためのデータとします。

これは管理会計における大きなメリットです。細かい数字を追うだけでは、会社全体の数字を把握することはできず、資産や損失、売上のデータなどを具体的に判断できるように仕様を整えているのが管理会計でしょう。

メリット2 事業好調の判断や成長戦略を策定できる

管理会計は財務会計とは違い、部署やプロジェクトの細部データから経営状況を判断する事ができます。原価計算から利益の計算や請求されている経費から会社全体の利益の割合を把握するのに使えます。そのため、利益の上がっているところには予算を多く投入し、逆に損失を出しているところは予算を減らして事業を縮小するなどの対策をいち早く取ることが可能です。

また、これを使い、将来的にどのようなビジョンを企業として推し進めるのか、成長戦略などを策定する材料にもなるでしょう。

メリット3 成果の正確なレビューに繋がる

会社には、人事や経理、営業などさまざまな部署が密集しており、1つの企業体を形成しています。その際に、どの部署の何が評価されて、目標の達成や努力義務など、基準をどのように課していくのか、判断するための基準が必要となるでしょう。そこで、管理会計を導入することで、各部署が自分たちで管理会計の状況から経営努力を把握することができます。

メリット4 インセンティブを作り出せる

管理会計は、企業の経営状況を明らかにすると同時に、従業員の経営目標や努力を明確化します。そのため、経営者もそれを生かしたインセンティブの導入などが可能となるでしょう。特に、経費の削減やコストカットなどは、経理によって細かい数字を出していなければ把握することも困難です。管理会計はそれらを視覚的に明らかにします。

数字に強くない人でもレポート化したグラフやデータなどを提供することで、具体的に必要となる数値目標を出し、それにあったインセンティブを導入しやすくなるのです。

メリット5 透明性を高める

会計において、企業が社内向けの会計報告書を作成することは、企業会計原則からして、透明性を高めることに直結します。経理では間違った情報を扱わないように細心の注意が払われており、税制上でも間違った会計処理は企業の大きな負担になることが知られているため、経費の計上も慎重に行われます。そのため、自社の経営状態を把握できるだけでなく、上層部や各部署の資金の動きや財産の状況を明らかにして透明性を高めることが可能です。

管理会計を行う際には注意が必要

管理会計は財務会計とは違い、決まったルールのない中で作成する会計書類です。そのため、管理会計を行う際は、社内で予め統一ルールの策定が必要です。

また、財務会計を審査する監査がチェックに入らないため、管理会計が不透明な会計になってしまうことがあります。そのため、管理会計を行う際は、チェック機能を作ったり、経営陣が積極的にチェック機能の役割を果たすなど、見直しを随時行えるような取り扱い方をする必要があるでしょう。

近年は、会計処理を専門職の会計士や税理士に任せるケースも増えています。チェック機能を導入したい時は、社外秘の情報に注意し、こうしたチェックを代替する方法として取り入れてみるのも良いでしょう。

管理会計の主な業務

予算管理

管理会計は、予算管理を通して資産と運用資金、人件費などのデータから経営判断する時に必要です。どのくらいの資産を会社は所持していて、事業にはどのくらいの資金を投入できるのか、金融機関は融資をどの程度受けているのか、大まかな経営方針を立てる時にはたいてい予算管理をします。投入している資金と負債のバランスが取れていない時は、上の経営判断において、それを改善したり、ストップしたりできるのです。

原価の計算とPDCAサイクルで問題解決

管理会計業務では、PDCAサイクルで事業を分析対象としたデータを作成します。例えば、事業の赤字がどこで発生しているのか、逆に利益がどこで生み出されているのかを明確にします。この際に、損益計算書(P/L)やキャッシュフロー計算書だけではわからないため、必ず原価の計算書や利益を細かくしたデータをそろる必要があります。それには、売上の推移をキャッシュフロー計算書や補足データから部門(事業)ごと、商品ごとに会計をまとめます。

月次決算

管理会計は基本的に月次決算のことを指します。そのため、月単位で管理会計の業務が発生するのが一般的です。普段の業務として行っている帳簿の仕訳作成は、1~3ヶ月に一度社内で決められた方法でデータやレポート作成などをする業務があるでしょう。それを経営者がチェックします。

問題を発見したら、解決に何が必要か答えを出して、PDCAサイクルで実行に移します。財務諸表のように、年単位では問題を発見するのに時間がかかり修正が間に合わないことも企業ではよくあります。そのため、管理会計の月次決算は経営者にとって損失・利益を見極めるために欠かせないのです。

おすすめの管理会計ソフト

CCH tagetik(シーシーエイチ・タゲティック)

出典:公式サイト

CCH tagetikは、財務や予算などのデータを一元管理できる「クラウド型の経営管理システム」です。統合型業績管理ソフトウェアとしてWolters Kluwerが提供しています。

特長

CCH tagetikの特徴は、欧米やアジアなど世界的に利用されている会計ソフトとして使えるシステムというところです。セキュリティ性能も高く、幅広いツールを選択的に利用できる点が評価されています。

機能

  • 財務に関連した事業計画書を作成する
  • 面倒な業務の会計報告書や決算書を自動で作成する
  • 社内のデータを連動して自動でデータに集計する
  • 部門ごとの情報を開示して、作成する報告書にデータを自動入力しチェックする
  • コンプライアンスなどの監査機能の簡易化
  • 高度な財務データ情報の分析

料金プラン

要問合せ

ジョブマネ【中小企業におすすめ!】

出典:公式サイト

ジョブマネは、ジョブマネ株式会社が提供する「クラウド型売上管理システム」です。主に中小企業やベンチャー向けのツールとしておすすめです。

特長

ジョブマネの特徴は、経理に関する様々な業務を一括管理できることです。クラウド型なので、初期費用がかからず、スケジュールの管理や工数管理、商談履歴など、企業活動のさまざまな雑務から解放してくれます。

機能

  • 複数の原価管理や注文書の自動作成
  • ToDo・タスク管理、ワークフローや工数管理などの業務可視化
  • 領収書の電子管理やペーパーレス化による経費精算
  • スケジュールと連動した商談履歴の自動入力
  • 売上や粗利のレポート作成

料金プラン

・グループウェアプラン

1~100人 1社あたり月額1,000円

101~200人 1社あたり月額2,000円

201~300人 1社あたり月額3,000円

・ビジネスプラン

1人あたり月額3,000円

原価計算は財務会計?管理会計?

企業会計において、原価計算は重要な役割があります。そして、原価計算は一般的に管理会計で行われるものですが、財務会計でも「製造原価報告書」の基となる原価計算がされています。特に、財務会計の財務諸表(決算書)作成には、この製造原価報告書の作成が欠かせません。その際に、商品の原価を計算して記録する必要があります。それには、「標準原価計算」や「実際原価計算」などの計算方法が使われます。

ただし、原価計算は最初に述べたとおり、管理会計でも重要な役目を果たすため、企業会計全体としてもウエイトの大きな経理業務です。実際に、利益計算などは原価や製造費などを踏まえて算出されるので、原価の価格がわからないと、さまざまな会計報告書が作成できない可能性があるでしょう。

例えば、経営状態を健全化させたい時、何が理由で赤字損失が発生しているのか、原価計算や利益などのデータからその結論を導き出します。このように、原価計算は財務会計と管理会計の両方とも欠かせないものでしょう。

ERPシステムを使えば財務会計と管理会計を同時にできる

経理部署は会社に欠かせない経理業務を担当します。これは、毎年の作業ルーティンが存在するバックオフィス業務です。その際に、ERPシステムを導入することで、財務会計と管理会計を同時に行うことができるのです。ERPは、企業の経営合理化を目指した資源を最大限に活用するという方法です。主に経理業務に導入されており、ERPシステムのことを「基幹システム」と呼ぶこともあります。

財務会計は決められたデータで財務諸表を作成しますが、管理会計は各部署のデータも精査する必要があり、それを統括するには基幹システムの幅広い活用が必要になります。その点において、ERPシステムは社外・社内のどちらに向けた財務や会計の報告書を統合した情報からすぐにレポートを作成し、共有化することが可能です。

管理会計と財務会計ソフトの比較は一括資料請求がおすすめ!

管理会計や財務会計ソフトの導入をご検討の担当者様はどのシステムを選べばいいのか頭を悩ませているでしょう。

自社に最適なシステムを選定するのは個々のサービスの正確で詳細な情報を入手するのがファーストステップとして重要です。

個々の正確で詳細な情報は、公式サイトでサービスの資料を請求することで入手することが可能ですが、多くの公式サイトを回って、毎回個人情報を入力し資料をダウンロードするのは非常に時間がかかり労力がかかります。

そこでおすすめするのは資料比較サイトを利用し、導入を検討している種類のシステムの資料をまとめてダウンロードすることです!

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管理会計や財務会計ソフトをお探しの方はぜひご活用ください。

まとめ

今回はクラウド会計ソフトを導入したい企業や個人事業主、企業を目指す会計初心者の方に企業会計の特徴や財務会計や管理会計の違いなどについて説明しました。財務会計や管理会計には、おすすめのクラウド会計ソフトがそれぞれあって、特徴や機能を生かした会計ソフトの導入が経理や企業経営の業務を効率化するのには最適です。バックオフィス業務など定型的で毎月同じようなタスクが発生する経理の負担を会計ソフトを活用するなどして、時間やコストを削減してみましょう。