クラウド会計ソフトとは?導入メリット・デメリット、選び方のポイントを解説

インストール型の会計ソフトや手作業による経理業務に、非効率さやテレワーク対応の難しさといった課題を感じ、クラウド会計ソフトへの移行を検討している担当者の方も多いのではないでしょうか。クラウド会計ソフトは業務効率化や迅速な経営判断に貢献しますが、導入を成功させるにはメリットだけでなくデメリットや注意点も正しく理解することが不可欠です。本記事では、クラウド会計ソフトの基本的な仕組みから、導入で得られる具体的なメリット、選定の比較ポイント、成功させるための準備ステップまでを網羅的に解説します。
目次
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クラウド会計ソフト導入による7つのメリット
メリット1:自動仕訳やデータ連携による業務効率化
クラウド会計ソフトの主な特徴は、銀行口座やクレジットカードなどの外部サービスと連携し、取引明細を自動で取り込める点です。日付や金額、取引内容がデータ化されるため、手入力の手間を削減できます。
さらに、AIが過去の仕訳履歴や取引内容から適切な勘定科目を提案する機能もあります。経理担当者は提案内容を確認・承認するだけで済む場合が多く、記帳業務にかかる時間を短縮し、入力ミスのリスクを低減させる効果が期待できます。
メリット2:サーバー不要で初期費用・運用コストを削減
自社でサーバーを構築・運用する必要がないため、ハードウェアの購入費や設置スペース、電気代といったインフラコストを削減できます。また、サーバーの保守やセキュリティ対策、バックアップといったシステム管理業務もサービス提供事業者に任せられます。
これにより、情報システム担当者の負担を軽減できるだけでなく、サーバー老朽化に伴う更新費用も発生しません。初期投資を抑えつつ、常に最新に近いシステム環境を利用できる点は、財務面でのメリットと言えるでしょう。
メリット3:リアルタイムでの経営状況の可視化
入力されたデータは即座に集計され、試算表や各種レポートに反映されます。経営者や管理職は、インターネット環境があれば場所を問わず最新のキャッシュフローや損益状況を確認できます。
月次決算を待たずに経営数値を把握できるため、迅速な意思決定を支援します。多くのソフトは売上推移などをグラフで表示するダッシュボード機能を備えており、直感的に経営状態を把握しやすいため、経営の透明性向上にもつながります。
メリット4:場所を選ばない柔軟な働き方への対応
インターネットブラウザやスマートフォンアプリを通じて利用できるため、オフィス以外の場所でも経理業務を行えます。これにより、在宅勤務やテレワークを導入しやすくなり、従業員の多様な働き方を推進できます。
出張先や移動時間を活用して経費精算の承認や経営状況のチェックも可能です。災害時やパンデミック発生時においても事業を継続しやすくなるため、事業継続計画(BCP)対策としても有効です。
メリット5:法改正への迅速な自動アップデート
消費税率の変更やインボイス制度、電子帳簿保存法など、会計関連の法規制は頻繁に改正されます。クラウド会計ソフトでは、サービス提供事業者が法改正に合わせてシステムを自動でアップデートします。
ユーザー側での更新作業は基本的に不要で、追加費用もかからないことがほとんどです。常に最新の法令に対応した状態で業務を行えるため、コンプライアンス違反のリスクを低減し、制度変更に伴う業務の混乱を最小限に抑えることが期待できます。
メリット6:データ共有の円滑化とバックアップの手間削減
会計データがクラウド上で一元管理されるため、顧問税理士や会計事務所ともデータを共有しやすくなります。従来のようにUSBメモリなどでデータをやり取りする手間がなくなります。
税理士は事務所にいながらリアルタイムで監査や指導を行えるため、コミュニケーションが円滑になり、月次決算の早期化にも寄与します。また、データはサービス提供事業者によってバックアップされるため、PCの故障などによるデータ消失のリスクを軽減できます。
メリット7:属人化の解消と内部統制の強化
業務プロセスがシステム化されることで、特定の担当者にしか業務が分からないといった属人化の解消に役立ちます。また、いつ誰がどのような操作を行ったかという操作ログが自動的に記録されるため、不正会計や改ざんの抑止力として機能します。
承認フロー機能を活用すれば、仕訳や経費精算の承認プロセスをシステム上で管理でき、内部統制の強化につながります。権限設定により、従業員ごとに閲覧や編集が可能な範囲を細かく制限することも可能です。
導入前に知っておくべきデメリットと注意点
月額・年額で発生するランニングコスト
クラウド会計ソフトは初期費用を抑えられる一方、利用期間中は継続的に利用料が発生します。従業員数や利用機能に応じて料金が変動するプランも多く、企業の成長に伴ってランニングコストが増加する可能性があります。
長期間利用する場合、トータルコストが買い切り型のインストール型ソフトを上回るケースも考えられます。導入時には、将来的な利用規模の拡大も見据えた上で、長期的なコストシミュレーションを行うことが重要です。
インターネット環境への依存とオフライン時の制約
クラウド会計ソフトは、基本的にインターネット接続を前提としています。そのため、通信環境が不安定な場所では動作が遅くなったり、利用しづらくなったりする可能性があります。
また、サービス提供側のサーバー障害やメンテナンス時には、一時的に利用できなくなるリスクも考慮すべきです。オフラインでの作業が多い場合は、一部のソフトで対応しているか確認が必要です。例えば「JDL IBEXクラウド」のように、一部オフラインでの利用に対応したソフトもありますが、多くはオンライン環境が前提となります。
セキュリティリスクへの正しい理解と対策の必要性
重要な財務データを外部サーバーに保管することから、情報漏洩や不正アクセスのリスクを懸念する声もあります。サービス提供事業者は高度なセキュリティ対策を講じていますが、利用者側でのID・パスワード管理が不十分であれば、不正ログインのリスクをゼロにすることはできません。
パスワードの使い回しを避ける、多要素認証を設定する、退職者のアカウントを速やかに削除するなど、自社内でのセキュリティ運用ルールを徹底することが求められます。
既存業務フローからの変更と従業員への教育
従来のインストール型ソフトや紙ベースの業務からクラウド会計ソフトへ移行する場合、操作方法や業務フローが大きく変わることがあります。特に、手入力での処理に慣れた経理担当者からは、操作性の違いに対する戸惑いの声が上がる可能性も考えられます。
導入にあたっては、新しい業務フローの設計だけでなく、従業員への十分な説明や操作トレーニングの実施、マニュアルの整備など、現場がスムーズに適応できるようなサポート体制を整える必要があります。
費用対効果(ROI)を試算する際の評価ポイント
導入効果を正確に測るには、定量的な効果だけでなく、定性的な効果も含めて総合的に費用対効果(ROI)を評価することが重要です。自動化による入力時間の削減やペーパーレス化によるコスト削減といった定量効果に加え、テレワーク対応による従業員満足度の向上や経営数値の早期把握による意思決定の迅速化といった定性効果も考慮に入れるべきです。
導入前後の業務時間を計測し、具体的な削減効果を可視化することは、経営層への説明材料としても有効です。
クラウド会計ソフトの導入が特に推奨される企業の特徴
経理担当者の業務負担を軽減したい企業
少人数で経理業務を行っている企業や、経理担当者の残業が常態化している企業にとって、クラウド会計ソフトは導入効果を期待できます。明細の自動取込やAIによる自動仕訳機能を活用することで、単純な入力作業や照合業務を削減可能です。
これにより、経理担当者は決算業務や財務分析といった、より付加価値の高い業務へ時間を充てられるようになります。人材不足に悩む企業にとっても、業務効率化による省人化は有効な解決策の一つとなり得ます。
複数拠点での経理業務やテレワークを導入している企業
本社以外に支店や営業所が複数ある企業や、テレワークを推進している企業には、場所を選ばずにアクセスできるクラウド会計ソフトが適しています。各拠点から直接システムにデータを入力・確認できるため、証憑書類を本社に郵送したり、データをメールで送受信したりする手間が省けます。
データが一元管理されることで、拠点間の情報共有がリアルタイムで行われ、全社的な経理業務の迅速化と効率化が期待できます。
迅速な経営判断が求められるスタートアップ・中小企業
変化の激しい市場環境において、迅速な意思決定は企業の競争力に影響します。クラウド会計ソフトを導入すれば、日々の取引データがリアルタイムで会計数値に反映されるため、経営者は常に最新の資金繰りや損益状況を把握できます。
月次決算を待たずに現状を分析し、投資判断や資金調達などの対策をスピーディーに講じることが可能です。「freee会計」や「弥生会計 オンライン」などは、こうした成長期の企業にとって有力な選択肢となります。
ペーパーレス化やDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進したい企業
電子帳簿保存法への対応やSDGsの観点から、ペーパーレス化やDXに取り組む企業が増えています。クラウド会計ソフトは、領収書や請求書を電子データとして保存し、仕訳データと紐付ける機能を備えています。
これにより、紙の書類をファイリングして保管する必要がなくなり、保管スペースの削減や書類検索の効率化が図れます。経理部門を起点としたペーパーレス化は、全社的なDX推進の第一歩として効果的な手段です。
自社に合うクラウド会計ソフトを選ぶための比較ポイント
機能の範囲:自社の会計業務をカバーできるか
自社の業種や規模、業務内容に必要な機能が備わっているかは、まず確認すべき点です。基本的な帳簿作成や決算書作成機能に加え、部門別会計、固定資産管理、予実管理など、自社が重視する機能の有無をチェックします。
また、給与計算や経費精算、請求書発行といった周辺業務との連携機能が充実しているかも、業務全体の効率化を図る上で重要なポイントになります。必要な機能がオプション扱いになっていないか、料金プランごとの機能差も含めて比較することが大切です。
料金体系:利用人数や事業規模に適したプランか
クラウド会計ソフトの料金プランは、利用できる機能や登録可能なユーザー数などによって異なります。個人事業主向け、小規模法人向け、中堅企業向けなど、ターゲット層に合わせたプランが用意されていることが一般的です。
自社の従業員数や取引規模に最適なプランを選定し、将来的な事業拡大に伴うプラン変更の柔軟性も確認しておきましょう。月額費用だけでなく、初期導入費用やオプション料金、サポート費用を含めたトータルコストで比較検討することが大切です。
操作性:経理担当者が直感的に使えるか
毎日使うシステムだからこそ、画面の見やすさや操作のしやすさは業務効率に大きく影響します。例えば「freee会計」や「弥生会計 オンライン」のように、簿記の知識が少ない担当者でも直感的に操作しやすいUIを持つソフトもあれば、熟練者向けに高速入力を重視した設計のソフトもあります。
導入前に無料トライアルなどを活用し、実際の経理担当者が操作感を試してみることを推奨します。入力画面の使いやすさやメニューの配置などが自社の業務フローに合っているかを確認しましょう。
外部サービス連携:銀行口座や給与計算ソフトと連携可能か
利用している銀行口座、クレジットカード、POSレジ、ECサイトなどと自動連携できるかどうかは、業務効率化の重要な鍵となります。連携可能な金融機関やサービスの数はソフトによって異なるため、自社が利用しているサービスが含まれているかを事前に確認しましょう。
また、既存の販売管理システムや給与計算ソフトなどとのAPI連携が可能かどうかもチェックし、バックオフィス業務全体でのデータ連携を視野に入れた選定が望ましいです。
サポート体制:導入時や運用中の相談窓口は充実しているか
導入時の初期設定や運用中のトラブルに対するサポート体制の充実度も重要な選定ポイントです。電話、メール、チャットなど、どのような手段で問い合わせが可能か、サポート対応時間は自社の営業時間と合っているかを確認しましょう。
特に初めてクラウド会計ソフトを導入する場合や、ITスキルに不安がある場合は、サポートが手厚いサービスを選ぶと安心です。例えば「弥生」シリーズなどは、サポート体制が充実していると評価されることが多いサービスの一つです。
クラウド会計ソフト導入を成功させるための具体的な準備ステップ
ステップ1:導入目的の明確化と現状の課題整理
なぜクラウド会計ソフトを導入するのか、その目的を明確にすることから始めます。「入力作業の工数を削減したい」「テレワークに対応したい」など、解決したい課題を具体的に洗い出します。
現状の業務フローにおけるボトルネックを特定し、システム導入によってどのような改善効果を狙うのかを定義することで、製品選定の軸が定まり、導入後の効果測定もしやすくなります。
ステップ2:必要な機能の洗い出しと要件定義
明確化した目的に基づき、新システムに求める要件を整理します。必須機能(Must)と、あれば望ましい機能(Want)を区分し、優先順位をつけることが有効です。
例えば、特定の銀行との連携が必須である、部門別管理が必要である、など具体的な要件をリストアップします。この段階で経理担当者だけでなく、関連部署や顧問税理士の意見も取り入れることで、より実務に即した要件定義ができます。
ステップ3:データ移行の計画と準備(対象データ・移行方法)
既存の会計ソフトからクラウド会計ソフトへ、どのデータをどのように移行するかを計画します。勘定科目マスタ、取引先マスタ、開始残高、過去の仕訳データなどが主な移行対象です。
多くのクラウド会計ソフトはCSVインポート機能を提供していますが、データ形式の変換作業が必要になる場合があります。業務への影響を最小限に抑える移行スケジュールを策定することが重要です。
ステップ4:社内への周知と運用体制の構築
導入決定後は、社内関係者への周知と運用体制の構築を行います。経理部門だけでなく、経費精算を行う一般社員や営業部門など、影響が及ぶ範囲の従業員に対して、導入の目的や変更点を説明します。
運用ルールやマニュアルを作成し、問い合わせ窓口を設置するなど、スムーズな移行をサポートする体制を整えます。必要に応じて社内説明会や研修会を実施し、従業員の理解と協力を得ることが重要です。
ステップ5:無料トライアルを活用した操作性の検証
本格導入の前に、無料トライアルなどを活用して実際の操作性を検証しましょう。候補となるソフトを実際に使用し、銀行口座連携の設定、仕訳入力のしやすさ、レポートの見やすさなどを確認します。
想定していた業務フローが実現できるか、処理速度に問題はないかなどをチェックします。現場の担当者が実際に触ってみて、「これなら使える」と確信を持てるソフトを選ぶことが、導入を成功させるための最終確認となります。
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まとめ:自社の成長を加速させる会計基盤の構築へ
本記事では、クラウド会計ソフトのメリット・デメリットから、自社に合ったソフトの選定ポイント、導入を成功させるための準備ステップまでを解説しました。業務の自動化による効率化やリアルタイムでの経営状況の可視化は、単なる経理業務の改善にとどまらず、迅速な意思決定を支え、経営基盤の強化につながる可能性があります。一方で、継続的なコスト発生やセキュリティ管理の必要性といった注意点も存在するため、導入効果を最大化するには事前の十分な検討が不可欠です。まずは現状の業務課題を整理し、この記事で紹介した比較ポイントを参考に、無料トライアルなどを活用して具体的な製品の検討を始めてみてはいかがでしょうか。自社に最適なクラウド会計ソフトを導入し、バックオフィス業務のDXを推進することが、企業の持続的な成長を後押しする一助となるでしょう。








